東日本大震災の際、東京電力福島第一原子力発電所では津波により電源の大部分を失い、燃料を冷やし続けることができなくなり、重大事故に至りました。事前の備えによって防ぐべき事故を防げなかったという反省のもと、柏崎刈羽原子力発電所では二度とこのような事故を起こさないために安全対策を進めています。
原子力発電やエネルギーについて考えていただくきっかけや参考材料として、このページでは、原子力発電の仕組みや防災対策について、そこで働いている人たちがどんなことを考え、仕事をしているのかをご紹介します。
1.発電所の安全対策
第1回は、発電所を津波から守る取り組みを紹介します。
2.東京電力のおしごと
柏崎刈羽原子力発電所のサービスホールで働く東電社員を紹介。ラジオ体操から始まる一日を追いかけてみます。
3.教えて!気になる放射線
皆さんの関心が高い放射線について、新聞やニュースで聞く「ベクレル」「シーベルト」などのキーワードも一緒に紹介します。
4.原子力発電所を守る!はたらく車たち
発電所の安全を守る「車たち」を紹介。今回は2種類の電気をつくる車が登場します。
津波による衝撃や浸水から発電所を守るため、想定する津波の高さ約6.8メートルに対して、海抜15メートルの高さの防潮堤を設置。津波の力で倒れないよう地中に打ち込んだ基礎杭の深さは20~50メートルにおよぶ。
それでも敷地内に浸水してしまった場合に備えて、内側から外側へ一方向にだけ水を流す排水設備も備えている。
津波が防潮堤を乗り越えて敷地内が浸水してしまっても、建物の入り口や換気口を海抜15メートルの高さまで「防潮壁」や「防潮板」で覆って建物の中に水が入り込まないようにしている。さらに、重要な設備のある部屋には、頑丈な「水密扉」を設置して浸水を防いでいる。
◇ | 福本 玲子(ふくもと れいこ) |
◇ | 愛媛県松山市出身 1994年入社 |
◇ | 入社後、「変電所」で設備の点検や工事管理の仕事をしていました。(変電所とは、発電所で作られた電気をお家まで届ける途中にあって、低い電圧に変換するところです) |
東京電力で唯一の原子力の広報施設です。柏崎刈羽原子力発電所の隣にある展示館で、原子力発電のことを詳しく知ることができます。
学校が休みの日には、エネルギー教室をはじめとしたイベントも開催しています。
8:30 | 朝礼、ラジオ体操からスタート。みんなで挨拶をして、お客さまの来館に備えます。 |
9:00 | お客さまの見学に必要な書類などに目を通します。 |
9:30 | これからいらっしゃるお客さまを想像しながら、ご説明内容などを再確認。 |
10:00 | お出迎え。会議室にご案内し、ご見学スケジュールなどをご説明します。発電所の構内をご案内しながら、質問にお答えします。お客さまのご意見もしっかり伺います。 |
14:30 | サービスホールのスタッフみんなで検討会議。展示館で掲示している情報の内容や、夏のイベントは何がいいかなど、アイディアを出し合います。 |
震災前から、東京電力のグループ会社に出向していました。当時、東京にあるオフィスでお客さまと打ち合わせをしていて、テーブルにしがみつきながら「大変なことが起きている」と恐怖に襲われましたが、揺れが収まったあとお客さまをお送りし、その後は社員の安否確認に追われました。
サービスホールには、小さなお子さまからご年配の方まで大勢のお客さまにお越しいただいています。
「エネルギーや原子力発電のことは初めて」という方がほとんどですので、そんな皆さまに動く模型などを使いながら分かりやすくご案内し、少しでも「分かった」と思っていただけるようにお伝えしています。そのために、エネルギー教室や映像、模型などさまざまな組み合わせでご案内できるよう日ごろから準備をしています。
お客さまと直接コミュニケーションをとれる場所なので、厳しいご意見も応援の声もいただくことができ、やりがいを感じます。そして、その声を次の仕事に活かしていくことが何よりも大事だと思っています。
サービスホールにもっとたくさんの方に来ていただくこと、地域の皆さまと対話する機会を増やしていくこと。そのために、まずはサービスホールを知っていただく活動をしています。ゴールデンウィークや夏休みにはお子さま向けの実験やサイエンスショーなどのイベントを開催していて、現在もスタッフと相談しながら、自由研究をテーマにした企画を進めています。
こんなふうに、
サービスホールに来てくれたことをきっかけに、家族やお友達に「エネルギーってこんなことができるんだよ!」なんて話をしてくれるような、新しい発見の場所になれたら嬉しいですね。
目に見えず、においもしない放射線。「今さら聞けないけれど、本当に影響はないの?」と不安を抱いている方も多いのではないでしょうか。ここでは、妊娠と被ばくなど、将来ママになる女性が疑問を持つテーマを中心に毎月ご紹介します!
「放射線」とは放射性物質から出る粒子や電磁波のことです。放射性物質が放射線を出す能力のことを放射能といいます。
「ベクレル」は放射能の量を表す単位で、食品の検査などで使われます。「グレイ」は、放射線が体にあたったときに『どれくらいのエネルギーを与えたのか』を表す単位で、一時的な脱毛や白内障などの症状の目安として使われます。
放射線によるがんや遺伝的な影響は、放射線の種類※や放射線を受けた臓器や組織で違い、「グレイ」では正確に表せません。そのため、これらを考えて放射線が『人間の健康にどのような影響を与えるのか』を表す単位として「シーベルト」が使われます。
※放射線は、アルファ線、ベーダ線、ガンマ線など種類があり、その種類によっても影響が違います。
広島・長崎の原爆によって放射線を受けた人たちの調査結果では、100ミリシーベルトを超える量の放射線を受けると、がんになるリスクが高くなることが分かっています。
がんの原因は、放射線以外にもさまざまで、喫煙や飲酒、ストレスなど個人の生活習慣も関係しています。受けた放射線の量が100ミリシーベルト以下の場合では、生活習慣によって自然にがんになるリスクと比べても、区別することができないほど、がんになるリスクは低いとされています。
出典:「教えて!気になる放射線」
一般財団法人 日本原子力文化財団
https://www.jaero.or.jp/
Q.地震や津波で原子炉を冷やす装置の電源を失ってしまったらどうする?
A.外部からの電源が途絶えてしまった時に備えて、3セットの「ガスタービン発電機車」と25台の「電源車」台を、海抜35メートルの高台2カ所に分散配備しています。
軽油を燃やしてできる高圧ガスでタービンを回して電気をつくる発電機を搭載した車。1台で、一般家庭約1,000軒分もの電気をつくることができる。燃料の軽油は地下のタンクに15万リットル貯蔵していて、原子炉1基を2.5日間、注水と冷却をすることが可能。起動するとジェット機が離陸するような轟音が響く。
ガスタービン発電機車と同じく、緊急時に高台からケーブルを通じて各号機に電気を送る。また、ガスタービン発電車と違い、各号機の近くまで移動して電気を供給することができる。柏崎刈羽原子力発電所には25台が分散して配備されている。緊急時に確実に電気を送れるように、訓練や点検が繰り返し行われている。
もっと詳しく知りたい方はこちら
»トキママ調査隊『一緒に考えよう 原子力と放射線』
»東京電力ホールディングス新潟本社
»柏崎刈羽原子力発電所 広報・ふれあい施設