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tepco20151208zadankai/東京電力/座談会/重原/林/上里

「原子力や放射線について、あまり知識がなく漠然とした不安がある」「何となく福島産の食品を避けている」「本当のことを知らされていないのではないか」…
こちらは、トキっ子くらぶが実施した「原子力発電と放射線に関するアンケート」に寄せられた「不安」の声です。全回答者の4割が「不安を感じていない」と答え、一方で不安を訴える声も多いことが分かりました。しかし、どちらの方も、主な情報源はテレビやラジオ、新聞などのマスメディアで、自ら積極的に調べたり、電力会社や行政の声を聞いたりする機会は少ないようです。トキっ子くらぶでは、新潟の子育て家庭が楽しく豊かに暮らせるよう、会員モニターを対象に子育て中の5人のママさんと東京電力との原子力発電と放射線についての座談会を開きました。その模様をお伝えします。(写真は東京電力の皆さん)


■原子力発電について不安を感じますか

tepco20151208zadankai/東京電力/座談会/挙手トキっ子くらぶ:トキっ子くらぶの調査では、不安を感じている人とそうでない方の割合は半々位でした。皆さんはどう思いますか?
モニター:東日本大震災で起きた福島原発の事故、あの事故があったからこそ、今しっかりと管理がされていると思います。柏崎刈羽原子力発電所で働いている友人もいるので不安はあまりないです。
モニター: 2012年に長岡市に移住してから「※原子力立地給付金」というものを知りました。柏崎刈羽原子力発電所から30キロ圏内に入っているから?また地震が起こったら・・と漠然と不安になります。
モニター:原発からの距離を考えると不安です。将来、長岡市に家を建てることを考えているので、意識はしてしまいますね。
モニター:私も、給付金に衝撃を受けて、リスクを負っているんだなと思いました。でも、放射能は目に見えないものだし、気にし過ぎても仕方がないとは思っています。
モニター:東日本大震災での福島第一原子力発電所の事故を見て、新潟にも大きな原発があるので、同じような事故が起こらないとも言えないと思います。中越地震や中越沖地震もあったし、福島での反省に基づいて、どんな対策が行われているか知りたいです。

※原子力立地給付金※
原子力発電所の関連施設がある自治体やその周辺自治体の住民や企業に対し、原子力発電所への理解と協力を求めるために支給される国の交付金制度。家庭や企業へ銀行振り込みや郵便為替で直接現金を支給する。原子力発電施設の運転終了まで交付される。
(A)一般家庭の電灯契約1口当たりの交付金額
(B)企業などの契約電力1kW当たりの交付金額
(金額は、平成27年度の1年あたりの金額)
柏崎市(旧柏崎市)、刈羽村 (A)18,912円(B) 9,456円
柏崎市(旧高柳町、旧西山町)(A)14,184円(B)7,092円
長岡市(旧長岡市、旧小国町、旧越路町)、
上越市(旧柿崎町、旧大島村、旧吉川町)、出雲崎町(A)9,456円 (B)4,728円
出典:新潟県HP

 ■「タービンを回して発電」は同じ

東京電力 tepco 発電

東京電力:まず初めに、主な発電方式についてお話しさせていただきます。水力発電や火力発電、原子力発電は、動力源こそ違いますが、タービンを回して発電する原理は同じです。水力発電は、ダムに溜めた水を下に流す力でタービンを回して発電します。火力発電は石油やガスを燃やして、「ボイラー」で水を温めて蒸気をつくり、その蒸気の力でタービンを回して発電を行います。原子力発電では、この熱源が「核分裂で発熱したウラン」になります。火力発電とは違い、炎や二酸化炭素は出ません。


■福島の現状は?食品は大丈夫?

モニター:福島第一原子力発電所の現状はどうなっていますか。最近は情報が少なく、何だかうやむやになっているような気がします。いまだに福島県産の食べ物をなんとなく避けてしまっています。小さい子どものことを思うとすごく気になります。
東京電力:福島第一では、「廃炉」作業が進んでいます。これまで、廃炉を進めるにあたり作業を妨げるがれきの撤去や増え続ける汚染水の対策など、様々な課題があり、上手くいかない事もありました。起こったことは全てメディアにお伝えしています。最近報道が減っているのは、失敗が減ったということです。廃炉完了までは30~40年かかると想定しており、数々の課題を克服しながら、一歩一歩と作業を進めています。
東京電力:現在、スーパーなどで買える食品は、福島県はもちろん県外においても厚生労働省の定めた基準値をもとに放射線の検査を行っています。基準値を超えるものは地域や品目ごとに出荷制限され、流通を止めています。お店で買える食品は安心して食べてください。
モニター:食べ物も心配ですが、震災後は福島に行くことも躊躇してしまいます。子どものことを考えるとなおさらです。
モニター:現在、日本にある原発は止まっていると思いますが、放射能の影響は?
東京電力:発電(運転)をしていても、止まっていても、放射性物質が外に出ることがないよう管理されています。福島第一原子力発電所の場合は事故で放射性物質を閉じ込めておく機能が失われ、外に出てしまいました。


■自然界にも放射線?

東京電力 tepco 座談会モニター:身の回りにも放射線があると聞いたことがあります。
東京電力:放射線というのは地球が生まれた瞬間から自然界に存在しています。これと共存してきた私たちの体には、放射線からダメージを受けたDNAを修復する機能も備わっていますが、それが間に合わないくらいの量になるとダメージになります。値としては「100ミリシーベルト」が境目になると言われていて、それ以下の場合は日常の生活習慣(食事、飲酒、喫煙)に起因するものと区別できないと言われています。原子力発電所で働く人は1年間で50ミリシーベルトを超えないように制限されています。また、私たち日本人が自然から1年間に平均2.1ミリシーベルトの放射線を受けています。2011年秋に、原子力発電所の事故後、食べ物から体に入る放射性物質がどれくらい増えたかを調べた厚生労働省のデータでは、事故によって1年間で食べ物から受ける放射線量は0.003~0.02ミリシーベルトでした。ただちに健康に影響の出る値ではありませんが、いくら低線量でも触れないに越したことはありません。放射線は目に見えないので不安があると思いますが、怖がり過ぎても良くないと思います。


■リサイクル可能 でも危険な廃棄物も

東京電力 tepco 座談会 雑感

モニター:火力発電に使う燃料はいつか枯渇すると言われているので心配です。原子力発電に使用するウランは枯渇しないのですか。
東京電力:現在の技術で採掘可能な埋蔵量としては、石炭はあと109年、石油は53年、天然ガスは56年、ウランは100年分があるとされています。ウラン燃料は石油や石炭などの燃料と違って、再処理することでリサイクルできます。消費されなかったウランや発電中に生じたプルトニウムを再処理工場で分離・回収して再び燃料として利用することができます。
モニター:新聞で原子力発電によって生まれる「核のゴミ」が取り上げられていました。危険なものだから捨てたり保管したりする場所が見つからない状態で、しかも「300メートルの地中に10万年先まで保管する」とありました。そこまで遠い未来まで危険なものであり続けるゴミを生み出す原子力発電を続けていいのか。というのが新聞の主張でした。どう思いますか。
東京電力:「核のゴミ」をどうするかは、私たちに課せられた宿題です。地中深くに保管するというのが現時点での最善の策です。将来には、さらに安全な方法で保管できる新技術が開発されることも考えられます。


■止まった原発 働く人は何をしている?

IMG_9565eeモニター:柏崎刈羽原子力発電所が止まっている今、従業員の方はどうしているんですか。誰もいない?
東京電力:発電こそしていませんが、敷地内には燃料も保有していますし、設備メンテナンスや安全性を高めるための工事など、やることはたくさんあり、東京電力の社員が1200人、協力企業も含めると6~7000人が働いています。
モニター:福島第一原子力発電所はリスクを考えて設計されていたのでしょうか。
東京電力:さまざまなリスクを想定して設計されていました。東日本大震災による激しい揺れにも発電所は耐えました。しかしあれほどの高い津波が襲うという想定が出来ていませんでした。「ここまでやっておけば大丈夫」という発想が大失敗だったのです。あの事故を受けて、「ここまででいい」という発想を捨て、もっと安全に、より高いレベルを目指し続ける考え方に変えることにしました。柏崎刈羽原子力発電所では、海抜15メートルの防潮堤をはじめ幾重にもわたるバックアップ体制を構築しています。福島第一で電源を失った経験から、建物内への浸水を防ぐ施設の改修を進め、移動可能な電源車を多数配置したり、注水用の貯水池を高台に造成したりしています。常に想定外を考えて、設備の改良や新設に加え、何が起きても発電所の職員が自分たちの力で対応できるように訓練を続けています。


■座談会を終えて

モニター:福島第一の事故の教訓を踏まえて多重の備えをしていることや、広報活動を積極的に行っていることを知って不安感は軽くなりました。
モニター:知らないから漠然と不安に思うことが多かったと思いました。より高いレベルの安全を目指して努力しているという姿勢が見えて良かったと思います。
モニター:現場の方から直接説明を聞いて、ニュースを見た時にその情報を判断できる材料を得られたと思います。理解が進みました。
東京電力:時間の制約もあり、限られた範囲でのお話でしたが、皆さんと直接お話しできたことは、とてもありがたいことだと思いますし、これを機会にまた詳しい説明の場を持てればと思います。本日はありがとうございました。次回施設見学会でお待ちしています。

次回は、トキっ子くらぶ会員モニターさんによる東京電力柏崎刈羽原子力発電所見学の模様をお知らせします。


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