【トキっ子エッセイ】
感謝の日

 

ここに1枚のカードがあります。
いや、カードというにはちょっと薄っぺらかも。
名刺ほどの大きさの紙に「くるまあらいけん」と幼い文字で書かれていて
その真ん中には色鉛筆で描かれた黒い車の絵があります。
これは18年前、娘がわたしにくれた「父の日」のプレゼントです。

皆さまの家では、今年の父の日はどのように挙行されましたでしょうか。
わが家の場合、母の日と比べ例年かなり地味に執りおこなわれる傾向にあります。

母の日という大きなイベントで子どもたちはエネルギーとお小遣いを使い果たし
父の日には「ま、気はココロってことでヨロシク」
みたいなプレゼントになってしまうのですね。

まあ、そんなささやかなものであっても、もらえればとてもうれしいわけで
もったいなくて使えなく、気がつけば18年も引き出しの中に
たいせつに仕舞われていたりするのです。

「くるまあらいけん」を見るたびに
そのときの娘のちいさな手を思い出します。
幸せしかつかませたくないと思っていたちいさな手。
この娘(こ)のこの先に予定されている苦しみや悲しみがあるのなら
みんなわたしが引き受けたいと祈ったちいさな手。

父の日とは、わたしがこの子の父であることに
感謝する日でもあるのだなあと思うのでした。

 

<文>藤田市男
エッセイスト。新潟市江南区生まれ。
娘5歳・息子1歳のときに青年実業家を目指して独立し、しばらく中年実業家。…気付けばエッセイスト。
著書:【手づくり絵本:ちいさな手】うに企画/【家族っていいなぁ】パート1~3などあたたかなエッセイにファン多数です☆

 

トキっ子ラウンジvol.13(2010年6月25日発行)掲載

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